ましんつ~るまがじん~vol.402~

INDEX

 ・今日のコラム………… 1.EMOハノーファー2023 開催結果 その2
             2.2023年度上期(4~9月)受注実績の概要

 ・統計更新情報………… 2023年10月分受注速報発表

 ・編集後記……………… メカトロテックジャパン2023(S)

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◇ 今日のコラム
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1.EMOハノーファー2023 開催結果 その2

 今回のコラムでは、前回に引き続き、去る9月にドイツ・ハノーファーで開
催されたEMOハノーバー2023における技術的な動向についてレポートし
ます。

【欧州の自動化メーカのシステムとロボットの活用】
 今回のEMO展においても近年トレンドとなっている自動化に関する展示が
多い印象でした。中でも、欧州の自動化メーカ(ROBOJOB社、BMO
Automation社等)が提供する、自走機能を持たないロード・アンロ
ードシステム(ロボット・ストッカ・レーザースキャナで構成)を工作機械に
付与した展示が非常に多く見られました。
 また、人と同じ空間で作業を行うことを前提にしたコラボレーションロボッ
ト(コボット)であったり、FSW(摩擦攪拌接合)をロボットで行う事例な
ど、ロボットの活用が進展している様子も伺えました。

【EVシフトへの対応】
 欧州でのEVシフトを背景に、EV用のバッテリーケースやモータケース等、
EVに係わるワークサンプルの展示が多く見られました。また、電動化による
車の静音化に伴い、減速装置から発生する騒音への対応も課題として挙げられ
ていることから、ギヤの形状誤差とノイズとの関連を踏まえた、騒音低減のた
めの歯車生産システムに関する事例も見られました。

【新しい加工法や加工支援技術】
 金属積層造形法には、主にパウダーベッド方式(PBF)、デポジション方
式(DED)、バインダージェット方式(BJT)などがありますが、これら
の方式とは異なる積層造形法としてリキッドメタルプリンティングと呼ばれる
方式(金属粉末を使用せず、ワイヤー材を液摘にして積層していく方式)を
採用した事例がありました。
 また、薄板加工に関する提案として、薄板のワークにアクチュエータを取り
付け、アクティブ吸振器によるびびり振動抑制技術の紹介などもありました。

【IoT技術のアピールはひと段落】
 インダストリー4.0プラットフォームとして発表されたumatiについ
ては、2019年のような大々的なデモンストレーションは行われず、現在で
はumatiへの対応は際立ったPRポイントにはならなかった印象でした。
デジタルツインやデータ利活用については、各社各様で取組が進んでいるとの
印象を受けました。

【教育的展示の充実と次世代技術者の育成】
 エデュケーション4.0と題し、トレーニング専用の工作機械や、CGを
用いた工作機械学習用コンテンツ(機械の構造や部位、操作を理解するための
CG教材)等、教育に力を入れた展示も見られました。
 また、EMO期間中にプレ技能五輪大会が開催され、ナショナルチームの
選手が出場するなど、工作機械エンジニアにスポットが当たる試みも行われて
おり、若手技術者からの注目を集める機会となったようでした。

 前号から2回に亘ってEMOハノーバーについてご報告しました。メガトレ
ンドは見当たらなかった印象ですが、コロナ明けのリアル展示会として、大変
活気に満ちた国際展示会であったと思われます。
 また、欧州では、各社が独自に保有するデータインフラから、データを第三
者と交換できるようにするための新しい枠組みとして、データエコシステム
「Manufacturing-X」を進める動きがあり、今後はこのデータ
エコシステムへの対応がひとつの注目材料になると思われます。

 

2.2023年度上期(4~9月)受注実績の概要

 【受注総額】 737,278百万円 (前期比 △9.0%、前年同期比 △17.7%)

    2023年度上期の受注総額は、4半期ぶり(上期としては2年ぶり)
   に8千億円を下回りました。

    前期比・前年同期比はともに2半期連続で減少し、年度上期としては
   3年ぶりの減少となります。

    欧米での金利上昇を受けた、中小企業を中心とした資金繰りの悪化や
   先行き不安の影響で、欧米市場でやや弱含んだものの、大企業を中心に
   底堅い動きが続いていましたが、中国での景況悪化により、東アジアや
   国内では緩やかな減少傾向が続きました。

    月別の推移をみても、3・9月は期末効果で増加が見られたものの、
   内外需とも緩やかな下降局面を辿りました。

 

 【内需】 240,527百万円 (前期比 △9.0%、前年同期比 △24.2%)

    内需は、前期比、前年同期比とも2半期連続で減少し、5半期ぶり
   (上期としては3年ぶり)に2,500億円を下回りました。

    補助金による下支えが見られたものの、半導体関連や自動車関連で弱
   含みの状態が続いた他、中国景気の低迷を受け、国内の設備投資環境も
   調整局面が続きました。月別の受注額を見ても、500億円を超える月
   は見られず、400億円を下回る月も見られました。

    業種別に見ますと、全11業種中、前期比減少は8業種、前年同期比
   減少は9業種と、内需全体で調整局面である様子が確認できます。ただ、
   半導体関連では水面下で商談が進んでいるとの声も聞かれ、8、9月に
   は電気・精密が2カ月連続で50億円を超えたほか、自動車関連も9月
   に9カ月ぶりに100億円を超える等、上昇に転じる気配も感じられ、
   下期の受注を注視したいと思います。  

               金額(百万円) 前期比  前年同期比
    一般機械         105,909    △2.8   △17.7
     うち金型        14,619    △1.0   △22.6
    自動車          49,875    △6.4   △34.0
     うち自動車部品     36,549    △5.2   △29.3
    電気・精密        27,232   △26.1   △34.1
    航空・造船・輸送用機械   9,107   △14.9   +10.5

 

 【外需】 496,751百万円 (前期比 △9.0%、前年同期比 △14.1%) 

    外需は、前期比・前年同期比とも2半期連続で減少し、5半期ぶり
   (上期としては3年ぶり)に5,000億円を下回りました。

    月別に見ると、夏場には、欧米の夏季休暇と中国の景気減速鮮明化に
   より、800億円を下回る水準となりましたが、各地域で自動車や電気
   機械等の大型受注が見られ、底堅い動きとなりました。

    地域別にみると、インドでは自動車や電気機械を中心に好調が続き、
   年度半期の最高額を更新しましたが、中国で前年度のEVやEMS関連
   投資が下火となったことに加え景気悪化懸念から減速し、周辺国・地域
   でも弱含み、5半期ぶりの2,500億円割れとなりました。
    欧州は、EU主要国で底堅い動きが続く中、チェコ、ハンガリー等の
   中欧地域やトルコでの受注が下支えし、5半期連続で1,100億円を
   超え、21年後半から横ばいで推移しています。
    北米は、金利上昇に伴い、ジョブショップを中心に資金繰りが悪化し、
   弱含む一方、自動化投資やEVをはじめとする自動車関連投資、航空宇
   宙関連等で大手を中心に需要が活発に推移したほか、メキシコやカナダ
   でも堅調な推移が続き、4半期連続で1,600億円を超えました。

             金額(百万円) 前期比  前年同期比
    アジア        205,890   △18.3   △26.9
     うち東アジア    148,232   △25.7   △34.8
     うちその他アジア  57,658    +9.4    +6.7
    欧州         115,568    △3.5    +4.3
    北米         161,762    +0.5    △6.3

 

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◆ 統計更新情報
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○2023年10月分受注速報発表(11月13日15時公表)

https://www.jmtba.or.jp/machine/data

  速報(2023年10月分)

         金額(百万円) 前月比  前年同月比

   受注総額    112,027    83.6    79.4

   うち内需    33,628    74.7    75.5

   うち外需    78,399    88.2    81.2

 

 ※ひとこと
   10月の受注速報を見ますと、受注総額は前月比3カ月ぶり減少、前年
  同月比は10カ月連続減少で、年度半期末効果や大型受注があった前月の
  反動もあって、2カ月ぶりに1,200億円を下回り、本年最低額となり
  ました。1,000億円超は33カ月連続となります。
   このうち内需は、前月比で2カ月ぶり減少、前年同月比で14カ月連続
  減少し、2カ月ぶりの400億円割れ超えとなりました。前月の年度半期
  末効果の剥落により減少しましたが、29カ月ぶりに350億円を下回る
  など緩やかな減速局面が窺える展開で、次月以降の動向を注視したいと思
  います。
   外需は、前月比3カ月ぶり減少、前年同月比10カ月連続減少で、2カ
  月ぶりの800億円割れとなりました。地域別の詳細は確報時にお知らせ
  しますが、受注水準は2、3カ月前とほぼ同水準であり、前月に複数の大
  型受注が外需を押し上げましたが、それらが剥落した影響が大きく、市場
  全体に大きな変化は見られていないものと考えられます。

 

■ 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

○メカトロテックジャパン2023

 先月、名古屋のポートメッセなごやで開催されたメカトロテックジャパン2
023を訪問しました。新1号館を初めて訪れましたが、大変広い会場で、駅
からも近く、多くの来場者で溢れかえっていました。新1号館からは離れる形
となった2号館・3号館ですが、こちらも従来と変わらず大変に賑わっていま
した。

 EMO展は面積が広大なため来場者も分散し、展示機は見やすいのは良いと
ころですが、人の間を縫って歩くような展示会の方が、人々の活気や関心の高
さを感じることができます。

 余談ですが、EMOではあまり見られませんでしたが、メカトロテックでは、
バラエティーに富んだノベルティーが沢山あった模様です。主催者ホームペー
ジでも紹介されていましたが、三菱マテリアル様と松本興産様のコラボレーシ
ョンで製作されたアルミ合金製の「打ち出の小槌」などがありました。金属加
工が施されたノベルティーは、あまり工作機械をご存じでない方には、レアで
魅力的なグッズと思います。PR方法としても参考になりました。

 

(S)

次回、Vol.403は2023年11月27日(月)に配信予定です。

毎度最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
次号もよろしくお願いします。  

 

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【ましんつ~るまがじん】

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